調査概要

調 査 概 要

 イスマイル派教国は、中世のイラン史・イスラム史の展開において重要でしかも特異な意義を有している。イスマイル派教国史の再構成を志し、私たちはその根本史料であるアラビア語・ペルシャ語文献を渉猟し、これまでの研究を跡づけて、イランに残存している山減を実地に調査する計画を樹てた。

 幸にして文部省科学研究費の交付を受けることができ、第一次調査隊(本田実信、大井晴男、菊池俊彦、加藤和秀)は昭和45年6月~9月、アラムート渓谷に入り、ラマサル、アラムートなど9山城を調査し、遺構の写真撮影、実測図の作成、遺構細部と周辺の景観の観察、山城分布図の作成を行なった。第2次調査隊(本田実信、菊池俊彦、木村尚俊、加藤和秀、北川誠一)は昭和47年8月~11月、東アルボルズ山脈南麓の山城群、アフガン国境浴いのコヒスタン方面の山城群、合計25山城について実施調査した。第2次調査隊(本田實信、菊池俊彦、加藤和秀、小山浩一郎、北川誠一)が、セムナンからタブリーズに至る地域を踏査した。この3回の調査によって、山城の分布、規漠、建造物の性格を知ることができ、山城の磯能についての資料を得ることができた。若干の山城は私たちの調査で始めてその存在と位置が確認された。なお、私たちの調査に寄せられた内外各位の御理解と御協力に深い感謝の意を表する。